上田

馬込沢うえだ鍼灸院院長
鍼灸でみんなを幸せにしたいと
日々精進

roo

健康に興味のあるネコ
出身地：千葉
好きな食べ物：肉

roo

2回にわたって、肝と心、肝と脾、肝と肺の関係について、お送りしました。今回は「肝と腎」についてのお話ですね

上田

はい。肝と腎は「肝腎要（かんじんかなめ）」というくらい大事です。人間の体はみんな大事だけど、取り分けね

roo

肝腎要

上田

腎は精を蔵し、肝は血を蔵す

roo

精？血？

上田

精も血も生命力の根源、生命エネルギーだね

roo

気とは違うんですか

上田

精は気の前駆物質。気も血も精から生まれるんだ。状況に応じて気は血に、血は気に姿を変える。よって「血は気の母、気は血の帥」といわれる

roo

ふーん

上田

精を生むのが腎。腎で生まれた血を最も多く蓄えるのが肝。体の中の必要なところに、血が行き渡るように調節しているのが肝の働き。精血同源とは、精と血は源を同じくするという意味だね

roo

精血同源

上田

五行でみれば腎は水、肝は木。腎水が肝木を生む関係だね

roo

腎から水をもらって肝木は成長します

上田

そう。しかしストレスによって肝の陽が亢進すると、相対的に肝の陰が不足する。これが「肝陽亢進から肝陰虚」だね

roo

どうなりますか

上田

陰虚の症状がでる

roo

陰虚だと眠りづらくなるんですよね

上田

そうだね。睡眠は陰、活動は陽だから、陰虚だど不眠になるね

roo

はい

上田

陰虚はそれ以外に、目が渇く、口が渇く、肌の乾燥、陰部が渇く、いらいらしやすくなるといった症状があるよ。つまり心身の「潤い」がなくなるんだ

roo

つらいですね

上田

肝陰の不足はいずれ腎陰も不足する

roo

精血同源ですからね

上田

そう。すると陰虚の症状がますますひどくなる。肝陰虚から肝腎陰虚となってしまう

roo

カラカラですね

上田

現代医学でいうところのシェーグレン症候群などがこれに該当する

roo

シェーグレン症候群？

上田

自己免疫疾患と考えられている。自己免疫疾患とは、外からの異物に対して反応するはずの免疫機能が、自分の細胞を攻撃してしまう病気

roo

ふーん

上田

なぜ、そうなるかはわかっていないけど。ストレスがきっかけになるといわれている

roo

やっぱりストレスか

上田

ドライアイやドライマウスも、それはそれで大変だ。シェーグレン症候群を発症させる病気によって、死に至ることもある

roo

それは大変です

上田

腎とは生命の根幹だから、さまざまな病気になる可能性があるんだ

roo

それも大変です

上田

腎は老化との関りが深い。だから腎が衰えると、眼や口が渇くといったもの以外に、耳鳴り、禿げ（白髪）、頻尿、夜中に目が覚めるなどの症状がでやすくなる。いわゆる老化現象といわれるものだけど、これらの症状が病的に出た場合は治療が必要だよ

roo

どうすればいいですか

上田

日頃の養生が大切だね

roo

食・息・動・想ですね

上田

体に必要な栄養を取って、体に悪いものは取らない。夜はしっかりと眠る。ストレスを溜めずに適度に運動する。そうすれば自然と呼吸も深くなるよ

roo

結局はそれなんですね

上田

そういうこと。崩れてしまった生命活動を早く軌道にのせるために鍼灸治療が有効だよ

roo

はい

上田

お大事にね

roo

船橋市のみなさん、お体を大切にしてください

陰は物質、陽は機能（パフォーマンス）と考えられます。機能を働かせるためにはそれを下支えする陰の存在が不可欠です。腎精の力があって、木は空に向かって高く高く伸びていくことができます。目が乾けば目薬、肌が乾けばクリームを塗って対処する、それも大事ではありますが、自らの力で潤うようになりたいですね。