馬込沢うえだ鍼灸院
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不妊の原因

2023/12/31

不妊の原因には、現代医学で言われるものと、東洋医学で捉えるものの両方があります。
まずは現代医学的に整理したうえで、東洋医学ではどう理解するのかを補足します。

【1】排卵障害によるもの

排卵がうまく起こらないことは、不妊の大きな原因です。主な例は次のとおりです。

  • 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
    卵胞は育つものの排卵まで進みにくく、月経不順や無排卵が起こります。

  • 高プロラクチン血症
    乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)が高いと排卵が抑制されます。

  • 体重・ストレス・生活習慣による排卵停止
    急激な体重減少、極端なダイエット、過度の運動、強いストレスなどで
    ホルモンの「指令」が止まり、視床下部性無排卵になることがあります。

  • 甲状腺機能異常(低下・亢進のどちらも)
    排卵を抑制し、不妊の原因になることがあります。


【2】着床の問題によるもの

受精卵が育ったとしても、子宮内膜が着床に適さなければ妊娠は成立しません。

  • 子宮内膜が薄い
    子宮内膜症がなくても、内膜が薄いと着床しにくくなります。

  • 子宮内膜症、子宮腺筋症
    子宮の環境が着床に向かない状態。

  • 子宮の形状の問題(中隔子宮、筋腫など)
    構造上、着床しづらいケース。


【3】卵巣機能・卵子の質の問題

加齢による卵巣予備能の低下のほか、生活習慣やストレスによっても影響を受けます。


【4】男性側の要因

精子数・運動率・形態の異常、精索静脈瘤など。


✦【東洋医学ではどう捉える?】

東洋医学では、不妊は「子宮だけ」「卵巣だけ」という局所ではなく、
全身のバランスの乱れの結果として起こると考えます。
特に以下の五臓が関わります。


① 腎(生殖の根本)

  • 卵巣機能、ホルモン軸、月経・排卵の根本に関与

  • 加齢・疲労・冷え・慢性ストレスで弱りやすい
    あらゆる不妊の中心に関わる臓。


② 脾(血をつくる臓)

  • 食べ物を血に変え、子宮内膜を育てる

  • 内膜が薄い、冷え・疲労、食欲低下などで低下しやすい
    子宮内膜の厚さと最も関係が深い臓。


③ 肝(気血の巡り・ストレス調整)

  • 自律神経・ホルモン指令のスムーズさ

  • ストレスで“肝気鬱結”となり排卵が乱れやすい
    排卵障害・月経不順と深く関わる臓。


④ 心(精神・血流の中枢)

  • 不眠、動悸、精神的ストレスの影響を受ける

  • 心が弱ると気血が十分に巡らず、卵の質や内膜の育ちに影響
    不妊ではしばしば“心の虚”が背景に存在する。


⑤ 肺(気を巡らせる)

  • 気を作り全身に送り出す

  • 気虚が強い人は、血の巡りが弱く子宮まで栄養が届かない
    脾虚・疲労が強いタイプで補う必要がある。


✦まとめ

現代医学では「排卵」「着床」「卵巣年齢」「男性要因」などに分類されますが、
東洋医学では 脾・腎・肝を中心に、心と肺も含めた五臓全体の協調を重視します。

「どこか一箇所だけ治す」のではなく、
体の総合力を整えることで、自然な妊娠力を高めていく
というのが東洋医学的アプローチです。

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