東洋医学でみる不妊
2024/04/04
― 体の「偏り」を整えていく ―
東洋医学では、不妊を単に「卵巣や子宮の問題」とは考えません。
体全体のバランス、つまり気・血・水のめぐりや臓腑の働きが調和していなければ、妊娠の準備も整わないと考えます。

身体の状態は人それぞれであり、その特徴を「体質」として捉えます。
以下は、不妊や月経トラブルに関係しやすい代表的な体質パターンです。
ただし、「タイプ」とはいっても、人の体はひとつの型にきれいに分かれるものではありません。
一人の中に複数のタイプが混在することも多く、また各タイプは相互に関係しています。
どの特徴がより顕著に現れているかということであり、養生にあたっては無理のない範囲でできることをすべて行うことが望ましいといえます。
① 気虚(ききょ)タイプ ― エネルギー不足
体を動かす基本のエネルギー(気)が不足している状態。
疲れやすく、冷えやすい、声に力がない、月経量が少ないなどの特徴があります。
長期の過労や睡眠不足、過度なダイエットなどが原因になりやすいです。
→ 対策:しっかり食べて、しっかり休むこと。穀類や根菜、豆類などエネルギーを補う食事と、十分な睡眠を心がけましょう。
② 血虚(けっきょ)タイプ ― 栄養と潤いの不足
血が不足すると、肌や髪が乾燥し、めまいや不眠、月経量の減少、基礎体温が低めになるなどの症状が現れます。
→ 対策:鉄分・たんぱく質・ビタミンを含む食材を摂り、過度なダイエットを避ける。冷たいものを控え、血を養う鍼灸治療も有効です。
③ 気滞(きたい)タイプ ― ストレスによる気の滞り
精神的なストレスや感情の抑圧によって「気」がスムーズに流れなくなった状態。
胸やお腹が張る、イライラする、月経前に痛みが強くなるなどの症状が特徴です。
→ 対策:リラックスする時間を意識的に取りましょう。香り(アロマ)や深呼吸、軽い運動なども気の流れを整えます。
④ 血瘀(けつお)タイプ ― 血の滞り
冷えやストレス、慢性的な炎症などにより、血の巡りが悪くなった状態です。
月経痛が強い、レバー状の血が出る、肌のくすみ、手足の冷えなどがみられることもあります。
→ 対策:体を冷やさないことが第一。軽い運動や入浴で血流を促し、温める食材(しょうが・ねぎ・シナモンなど)を取り入れましょう。
⑤ 腎虚(じんきょ)タイプ ― 生命力の弱り
「腎」は生命エネルギーの源であり、生殖を司る臓です。
腎の力が弱まると、卵巣機能の低下や精力減退、月経不順、腰や膝のだるさ、耳鳴りなどが起こりやすくなります。
→ 対策:体を温め、腎を養うこと。黒豆・くるみ・山芋・黒ごまなど「黒い食材」は腎を補うとされます。冷たい飲食を控え、十分な休養を取りましょう。
○妊娠を目指すうえで大切なこと
東洋医学では、妊娠を「体の自然な働きが整った結果」として捉えます。
つまり、妊娠しやすい体づくりとは、全身のバランスを整え、生命力を高めることでもあるのです。
鍼灸治療では、気血の流れを調え、自律神経を安定させることで、視床下部―下垂体―卵巣系の働きを間接的に整えることができます。
また、食事・睡眠・運動といった生活習慣を見直すことが、体のリズムを安定させ、ホルモンバランスを取り戻す助けになります。
○心と体の調和が、命を迎える準備になる
ストレス性の不妊にしても、体質的な不妊にしても、根底にあるのは「体が緊張しすぎている」状態です。
心をゆるめ、体の巡りを整え、内側から温かさを取り戻すこと。
それこそが、東洋医学の考える“妊娠しやすい体”であり、
新しい命を迎えるための、いちばん大切な準備なのです。
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