高プロラクチン血症とは — 概要と不妊との関係
2023/12/31
高プロラクチン血症とは、女性ホルモンの一種である プロラクチン(PRL)が、妊娠・授乳期以外でも異常に高く分泌される状態を指します。授乳時には自然に増えるホルモンですが、それ以外の時期で高値のままだと、月経不順・無排卵・排卵障害などを引き起こし、不妊につながることがあります。
プロラクチンが高い状態が長く続くと、黄体機能が弱まり、受精卵の着床や維持が困難になることもあるため、不妊の重要な原因のひとつです。

主な原因
高プロラクチン血症の原因としては、以下のようなものがあります。原因によっては治療や対策が異なるため、正確な診断が重要です。
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下垂体の腫瘍(プロラクチノーマ)や下垂体/視床下部の病変
— プロラクチンを異常分泌する病的な変化。 -
薬剤性
— 抗精神病薬、向精神薬、制吐薬、降圧薬、胃腸薬など、特定の薬の副作用でプロラクチンが上がる場合がある。 -
ホルモンバランスの乱れ
— 特に 甲状腺機能低下症 のような甲状腺疾患、ストレス、生活習慣の乱れなどによって引き起こされることが多い -
生理的・体質的な要因
— 遺伝、体格、体質(ストレスの受けやすさなど)が影響する場合もある。
高プロラクチン血症が不妊に与える影響
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排卵が抑えられたり不規則になったりする → 排卵障害・無排卵
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月経異常や無月経
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黄体機能不全 → 着床しにくくなる、妊娠維持が難しくなる
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着床環境の悪化、不妊となるリスク上昇
このように、高プロラクチン血症は 妊娠成立のためのクリティカルなプロセス(排卵〜着床) に広く影響を及ぼします。
どれくらいの人に見られるか — 見つかる頻度の目安
さまざまな研究がありますが、不妊で検査を受けた女性のなかで高プロラクチン血症がみつかる割合はおおよそ次のように報告されています:
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約 15.7%(あるクリニックでの 1,163 人中)
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約 24.7%(300 人の不妊女性の調査)
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他の研究では 30〜40% という報告もあります。
このように、不妊女性のなかで「かなり多く」の割合で高プロラクチン血症がみつかる可能性がある というのが、現在の臨床実感および報告の平均値です。
高プロラクチン血症が疑われたら — チェックと対応のポイント
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血液検査(プロラクチン測定)
月経異常、不妊、乳汁分泌などがある場合はまず測定。プロラクチンは時間帯やストレスで変動しやすいため、複数回確認することが望ましい。 -
原因の特定
下垂体腫瘍、甲状腺機能、服用薬の有無など、可能性のある原因を総合的に調べる。 -
必要に応じた治療
ドーパミン作動薬などでプロラクチンを正常化する治療が一般的。治療によって排卵が戻り、妊娠する人も多い。 -
生活習慣の見直し
ストレス管理、睡眠、適度な運動、バランスの良い食事など。薬剤やホルモン以外の原因への配慮も大切。
📝 結論
高プロラクチン血症は、不妊原因として 決して珍しくなく、むしろ比較的 “よく見つかる” 重要な因子 です。
排卵・月経・着床・ホルモンバランスすべてに影響するため、検査リストの最初に入れるべき疾患の一つとされています。検査・診断が早ければ治療で改善される可能性が高いため、不妊治療を考えている人には必ず確認してほしい状態です。
高プロラクチン血症の原因には、下垂体の腫瘍が関わる場合があります。ただし、これらの腫瘍のほとんどは良性で、プロラクチノーマもまず良性と考えて差し支えありません。悪性(下垂体がん)は全体のごく一部、0.1〜0.2%以下と非常にまれで、不妊症の検査をきっかけに見つかるケースが悪性である可能性はほとんどありません。過度に心配する必要はありませんので、まずは落ち着いて検査や治療を進めていただければと思います。
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