大人のアトピーが増えている。お肌のために

上田
馬込沢うえだ鍼灸院院長
鍼灸でみんなを幸せにしたいと
日々精進

roo
健康に興味のあるネコ
出身地:千葉
好きな食べ物:肉

roo
大人のアトピー性皮膚炎(以下アトピー)が増えていると聞きました

上田
アトピーはもともと子供の病気だったんだよ。大人になれば自然に治っていたんだ

roo
では、なんで?

上田
アレルギーを引き起こす物質が増えたことが挙げられる

roo
たとえば?

上田
戦後日本に、小麦、乳製品、ナッツなどが外国から大量に入ってくるようになった

roo
へぇ

上田
それまで、そんなものはほとんど食たべたことがなかったんだよ

roo
日本人ですもんね

上田
添加物、防腐剤、プラスチック由来の化学物質などもアレルゲンになるね。アレルゲンとはアレルギーを引き起こす物質のこと

roo
すべて 近代化の副産物

上田
農薬や空気中の有害物質、洗剤、香料など、皮膚や粘膜から吸収される「見えないアレルゲン」も激増

roo
アレルゲンまみれですにゃ

上田
そうだね

roo
世の中が清潔になり過ぎたというのはどうですか?

上田
「衛生仮説」と呼ばれるものだね.

roo
衛生仮説

上田
世の中が清潔になり過ぎて、行き場を失った免疫が暴走しているという説だね

roo
世の中きれいになった

上田
人間にとって有害なものが増えたのだから、清潔になったとは言えないのかもしれないよ

roo
確かに。見方によっては今の方が不潔かもしれない

上田
衛生仮説は自然由来のものには当てはまるね。土を触ることで、土の中にいる微生物とか細菌とかに対する免疫はできる

roo
はい

上田
でも、いくら土を触っても化学物質に対しての免疫ができるわけじゃないんだね

roo
あー、そういうことか

上田
幼少の頃に触ったものすべてに対して免疫ができるなら、極端な話が、硫酸をちょっとずつ浴び続けたら硫酸をかけられても大丈夫な皮膚になるわけだど、そうはならない

roo
そりゃそうだ

上田
ダニは自然由来のもの、ハウスダストなんかは硫酸に近いともいえる

roo
なるほど

上田
飲食物の中で戦後急に増えたものに、小麦、乳製品、植物性油、甘い物がある。ケーキやドーナツ、スナック菓子、コンビニ弁当などの加工食品なんかは体に悪い物が満載だね。特に植物性油、乳製品、小麦はアトピーとの関りが深い

roo
植物性油、乳製品、小麦

上田
植物性油は、加工食品・揚げ物・ドレッシングに多く含まれるよ。とくにリノール酸はアトピー最大の炎症促進因子の一つだね

roo
最大かぁ

上田
乳製品に含まれるカゼインや乳糖は、小腸上皮の密着結合を壊すことでリーキーガット(腸漏れ)を起こして、免疫を過剰反応させてしまうんだ

roo
リーキーガットからの免疫過剰

上田
植物性油、乳製品、小麦の組み合わせは1年365日、毎日摂っている人も少なくないね。というかとても多い

roo
パン、ヨーグルト、グラノーラ+牛乳、サンドイッチ+カフェラテ、菓子パン+チーズ・ハム系惣菜パン

上田
ピザなんかも。ピザだけですべてを摂ることになるね。アトピーにとって、ピザは最悪レベルの複合炎症フードです

roo
最悪レベルの複合炎症フード。みんな本当によく食べていますね

上田
これらを止めたらそれだけでアトピーが治ったという人はとても多い

roo
そうでしょうね。だって元を断つわけだから

上田
特に子供はね

roo
大人は違うの?

上田
大人の場合、精神的・社会的ストレス、長年の体内炎症の蓄積など、食以外の要因も複合的に絡むため、トータルで整える必要があるといえばあるんだけど、基本は同じだよ

roo
基本は同じ

上田
たとえ他にストレス・環境要因があったとしても、植物性油と乳製品を完全に断っただけで劇的に改善するケースは非常に多い。何より、体が“治りたがっている”のを邪魔しないことが大切だね

roo
自分で治るのを邪魔している

上田
アトピーが治らない最大の要因のひとつは、「治す環境を自分で作っていないこと」だね

roo
つまり「治ることを妨げるものを、まだ口にしている」

上田
植物性油・乳製品は、摂るか・摂らないかではなく、 「やめるか・やめないか」という決断の問題になるね

roo
決断した上で、アトピーに鍼灸や光線療法はどうですか?

上田
お肌の状態をよくするための助けになるよ

roo
刺絡は?

上田
刺絡は瘀血をよくするために期待できるよ。東洋医学的に見ればアトピーやお肌の状態がわるいのは、植物性油や乳製品による血の汚れ「瘀血」が関わってる場合がとても多い、というかすべてといってもいい

roo
血(けつ)をきれにしないと。耳ツボ治療もお肌の状態をよくするのにいいんですか?

上田
耳ツボ療法は、直接お肌の状態をよくするというよりも、食欲を抑えたり、鍼灸や光線療法の効果を高めるためのサポート的な存在だね

roo
といいますと

上田
アトピー性皮膚炎やお肌の状態は、食生活との関りがとても大きいことはわかったでしょ

roo
はい

上田
でも、つい体に悪いものを食べちゃうでしょ

roo
本当はやめたいんだけど、つい

上田
そういう人が多いね

roo
だから耳つぼ療法で食欲をコントロールするということですね

上田
そういうことです

roo
植物性の油、乳製品は摂らないとして、何を食べたら良いですか?

上田
基本は和食ね。主食は米、魚からオメガ3を取って、それから納豆、みそ汁、ぬか漬けなどの発酵食品を食べるといいね

roo
なんで?

上田
腸内細菌がしっかりしているとアトピーが少ないことが分かっているんだ。戦後の日本人は戦前と比べると、腸内細菌の数が3分の1程度になってしまったと考えられている

roo
ずいぶん減りましたね

上田
ビフィズス菌のエサになるオリゴ糖にいっしょに摂るといいね

roo
オリゴ糖。何を食べればいいですか

上田
ゴボウ、タマネギ、アスパラガス。スープにすると摂りやすい。できれば毎日摂りたい

roo
体調が良くなることを楽しみに、コツコツ続けたいですね

上田
はい
日本皮膚科学会は、~アトピー性皮膚炎は遺伝的素因に加え、様々な内的、外的悪化要因を持った皮膚病であり、現時点では病気そのものを完全に治す薬物療法はない、従って対症療法が治療の原則になる~としています。「アトピー」とは、ギリシャ語のATOPOSに由来し、「奇妙な」「不思議な」という意味で、つまりアトピー性皮膚炎とは、原因がよくわからない痒みなど皮膚の症状すべてと考えられます。よくわからないとはいっても、然るべき対応によってかなりの緩解が見込めることがわかっています。