卵子の質は変えられるのか?― AMHと加齢、そして「環境を整える」という考え方 ―
2025/11/29
卵子の“質”は変えられるのか?
妊活について語られるとき、「卵子の質」という言葉を耳にすることが多いかもしれません。
そして同時に、こんな疑問も浮かびやすくなります。
「卵子の質は上げられるの? それとも変えられないの?」
この問いに答えるためには、まず「質」という言葉が何を指しているのかを整理する必要があります。

■ 卵子の“質”は、生まれつき決まっている部分
卵子には、女性が生まれたときから備わっている「先天的な質」があります。
これはちょうど、人が生まれながらに持つ“才能”のようなものです。
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才能そのものは後から書き換えられない
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しかし、その才能をどれだけ発揮できるかは環境によって大きく変わる
卵子も同じで、
生まれ持った質そのものを変えることはできません。
しかし、その卵子が 本来の力を発揮できるかどうかは、育つ環境に大きく左右されます。
■ 「質が下がる」と言われるのは、本来の意味とは少し違う
一般に「卵子の質は年齢で下がる」と言われます。
これは「生まれつきの質が変化している」という意味ではありません。
実際にはこうです。
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年齢とともに血流、代謝、ホルモンの働きなどの環境が変化し
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卵子がよい状態を保ちにくくなり
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結果として、受精や発育につながりにくくなる
つまり、低下するのは
“質そのもの”ではなく、“状態(コンディション)” なのです。
この状態は、生活環境やケアによって変わるため、
ここが私たちが介入できる部分になります。
■ AMHは「卵子の質」ではなく「卵子の数」の指標
AMH(アンチミュラー管ホルモン)は、卵子の残りの数を推測するための指標です。
質そのものとは関係がありません。
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AMHが低くても自然妊娠する人はいる
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AMHが高くても妊娠しにくい人もいる(例:多嚢胞性卵巣症候群)
ただし体外受精という観点で見れば、
AMHが高い → 採卵できる卵子が多い → 良い胚が得られる確率が上がる → 移植のチャンスが増える
というように、
“工程全体”を通じて妊娠の可能性が高まることは事実です。
つまり、AMHは 「間接的に」妊娠の確率に影響する と言えます。
■ 鍼灸はどこに関わるのか?
― 卵子が育つ「環境」を整える ―
鍼灸は、卵子の質そのものを変えることはできません。
また、卵子の数(AMH)を増やすこともできません。
しかし、鍼灸が果たす役割は明確です。
卵子が育つための環境を整えること。
これは、卵子を包む“土の質”を整えるイメージに近いかもしれません。
鍼灸によって期待できる変化には、
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卵巣への血流改善
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ホルモンバランスの調整
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自律神経の安定化
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ストレスの軽減
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睡眠の質の向上
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体全体の代謝を底上げする作用
などがあります。
これらはすべて、
卵子が“持っている力を発揮しやすくする”ための土台づくりです。
才能に例えるなら、
才能(先天の質)は変わらない。
しかし、努力できる環境が整えば、その才能はよりよく発揮される。
ということです。
■ まとめ:変えられないものと、変えられるもの
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卵子の“先天的な質”は変えられない
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AMHはあくまで卵子の残りの数を示す指標
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年齢とともに見られる“質の低下”は、環境による状態の変化
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卵子が育つ環境は整えることができる
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鍼灸はその「環境づくり」を大きくサポートする
妊活では、変えられない事実に目を向けるほど、気持ちが沈みやすくなります。
しかし、変えられないものがある一方で、
“変えられる部分”は確かに存在します。
その変えられる領域をていねいに整えていくことこそ、
東洋医学の最も得意とするアプローチです。
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