痛みの大本
2023/09/29

上田
馬込沢うえだ鍼灸院院長
鍼灸でみんなを幸せにしたいと
日々精進

roo
健康に興味のあるネコ
出身地:千葉
好きな食べ物:肉

roo
腰痛、頭痛、生理痛、いろいろな痛みがありますね

上田
本当にね

roo
なんで「痛み」があるんですかね?痛みなんてなければいいのに

上田
痛みは生存のために体に備わった大切なものだよ。痛みは、体のどこかに悪い所があることを教えてくれる

roo
お腹が痛ければお腹が悪い、腰が痛ければ腰が悪い、頭が痛ければ頭が悪い

上田
表面的にはそうだね

roo
表面的?

上田
そう。もしくは急性的

roo
急性的?

上田
東洋医学には「標」と「本」という考え方があるよ

roo
標と本

上田
標は急性的、本は慢性的なもの

roo
標は急性的、本は慢性的

上田
急性的なものは、まずはその場をしのぐことを優先させる。これを標治という

roo
応急処置?

上田
まぁ、そういうことになるね

roo
とりあえず症状を和らげる

上田
それだけではだめだよ

roo
わかります。症状が出ないようにしないといけない

上田
そういうこと。標治も大事だけど、本治はさらに大事だね

roo
はい

上田
「本」は大本(おおもと)のこと。大本ではみんなつながっているよ

roo
どういうことですか?

上田
お腹が痛いのも、腰が痛いのも、頭が痛いのも、根本的な原因は同じということ

roo
えー、そうなんですか?

上田
気候の変化やストレスをきっかけに、その人の生まれつき弱い所に発症する

roo
気候やストレスはきっかけ?じゃあ、痛みの根本的な原因ってなんですか?

上田
人によって同じではないけれど、痛みと食べ物が関係していることは間違いない

roo
食べ物?

上田
そう、食べ物。本当に沢山の食べものがあるけど、ちょっと前まで日本庶民がほとんど食べなかったものがある

roo
何ですか?

上田
植物性の油、小麦、甘い物、乳製品

roo
これらが痛みの元凶?

上田
そう、慢性痛のね。サラダ油やマーガリンなど多価不飽和脂肪酸(オメガ6)を多く含む植物性の油は、酸化するとアルデヒドという有害物質を生成する

roo
アルデヒド

上田
このアルデヒドが神経を傷つけるんだ

roo
怖いにゃ

上田
さらにアルデヒドは痛みの閾値を下げてしまう

roo
つまりわずかな刺激でも「痛い」と感じてしまうということですね

上田
一方、甘い物は、体内で急激な血糖値の上昇を引き起こし慢性炎症の原因になる。過剰な糖質摂取により腸内フローラ(腸内環境)が乱れ、カンジタ菌などの有害な腸内細菌が増殖する。これらの菌が糖を発酵させると、やはりアルデヒドなどの有害物質が作られる

roo
植物性の油と甘い物を両方摂ると、どんどん神経がやられてしまう

上田
そこに小麦が加わるとさらに悪い

roo
小麦も?

上田
小麦に含まれるグルテンが腸粘膜の細胞同士のつながりを緩くしてしまう。すると本来入ってきてはいけない有害な物質が体にの中に入ってくる。これがリーキーガット症候群

roo
トリプルパンチですね

上田
人にもよるけど「乳製品」も腸内環境を悪化させ、リーキーガットを助長する。乳タンパクであるガゼインは消化されにくいんだ。腸内環境が悪化すれば免疫の異常反応から体内の慢性炎症が起きて、やはり神経系を阻害する。腸は、全身の免疫細胞の約70%が集まる最大の免疫器官だからね

roo
乳製品もか

上田
頭痛や慢性痛で悩んでいた人が、乳製品を控えたら改善したという事例は少なくないよ

roo
腸は大事なんだなぁ

上田
下痢や便秘をしていないからといって、腸内環境が乱れていないとは限らないよ

roo
へぇ、そうなんだ

上田
食べる物に気を付けて、腸内環境が整って、傷んでいた神経が修復されて、腰痛がなくなった、頭痛がでなくなった、生理痛が軽くなったというのは、当たり前といえば当たり前の話だね

roo
当たり前なのか

上田
だから治療の効果を高めるには、まずは大本を正すことがとても大事だね

roo
腸内環境や慢性炎症、痛みといったものを東洋医学ではどう考えますか?

上田
現代医学でいう「腸内環境」は、東洋医学では主に脾、大腸、小腸などだね

roo
脾、大腸、小腸

上田
「腸内環境の悪化」は東洋医学では、脾虚、湿邪・痰湿だね。脾虚とは消化不良・水分代謝の低下、そこからくる疲れやすさなど。湿邪・痰湿は腸に湿が溜まって、毒素として体中に悪影響を及ぼすこと。油、甘い物、小麦、乳製品が脾の機能を弱めて、痰湿が生まれる

roo
言っていることは西洋医学と同じですね

上田
「慢性炎症」は「湿熱」や「瘀血(おけつ)」に該当する。湿熱というのは湿(余分な水分)と熱(炎症)が結びついた状態。にきび、便の臭いがきつくなる、イライラしやすいといった症状がでやすくなる。瘀血は血流れが滞ってできた病理産物のこと。あらゆる病気の根元。痛みをもたらす

roo
全部つながっているんですね

上田
湿や瘀血によって気が滞る、すると「痛み」がでる。これが「不通則痛(ふつうそくつう)」だね。慢性的な痛みは瘀血、痰湿、気滞によって生じる

roo
「治療」はこれらの状況をよくすることですね?

上田
そういうことです。鍼灸、光線療法、刺絡、耳ツボ、すべての目的は気血の流れをよくすることだよ

roo
治療の効果を最大限に生かすために、植物性油、甘い物、小麦、乳製品を止める、もしくは控えることがとっても大事なんですね

上田
頭痛にしても、腰痛にしても、生理痛にしても、そんなに長くは続かないでしょう?頭痛なら長くても1~2週間程度、ぎっくり腰を起こしたとしても2週間もすれば痛み和らぐ、生理痛も生理期間中だけ

roo
それに比べて慢性痛が良くなるのには時間がかる。食べ物に気を付けて、治療を受けても

上田
治療を受ければその時は少し楽になるけど、それは慢性痛が良くなったわけではないよ

roo
勘違いしてはいけませんね

上田
本当の意味で慢性痛が良くなるとは、治療の手を借りる必要がない状態になることだよ

roo
なるほど。予防のために鍼灸や光線や刺絡をやるのが理想ということですね

上田
そういうことです
慢性痛は、急性痛のようにすぐには良くなりません。治療によって一時的に楽になることがあっても、それだけで「治った」とは言えないのが慢性痛の特徴です。本当の意味で慢性痛を改善するには、生活習慣、特に「食生活の見直しと改善」が欠かせません。体は日々の積み重ねでできています。食べる物に気を付けながら治療を続けていけば、たとえ時間がかかっても、必ず体は応えてくれます。
焦らず、一歩ずついきましょう。あなたの回復を心から応援しています。